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平成29年度事業報告書

◇平成29年度事業報告書 平成29年4月1日から平成30年3月31日まで
 

1 事業の目的 定款第3条

 貧困者や刑余者の生命を守るために、生活支援事業を行います。
 

2 事業の実施に関する事項 定款第5条

(1)特定非営利活動に係る事業
  ①サ 再犯させない事業 刑余者の再犯を防ぐ事業。
  ②シ 死なせない事業 貧困者や刑余者の自殺や孤独死を防ぐ事業。
  ③ス 住まいを確保する事業 貧困者や刑余者の住居や保証人を確保する事業。
  ④セ 生活を確保する事業 貧困者や刑余者を生活保護などに誘導し、生活できるようにする事業。
  ⑤ソ 相談を解決する事業 貧困者や刑余者の相談を受けて解決する事業。
(2)その他の事業 実施なし
 

3 事業の成果と課題

 「はすのは」は、平成29年度も多くの貧困者・刑余者を救済し、平穏な生活をもたらしました。今年度も自殺者は出しませんでした。最近は司法関係官署からの要請で刑余者の救済が増えました。しかし、今年度は再犯者7名を出してしまいました。どうしたら再犯者を出さないようにできるかまだ結論は出ていません。
 ①今年度は、生活保護申請同伴・受給実現16名、住居確保26名、借家保証人確保40名でした。
  【統計】

◇相談 今年度79件・理事長活動16年通算1469件
うち刑余者救済今年度21件・通算237件
◇生活保護申請同伴受給  今年度16件・通算530件
◇住宅確保  今年度26件・通算555件
◇保証人確保 今年度40件・通算393件
◇債務整理 今年度7件・通算393件
◇相談者の紹介者 全ての数字に再相談者を含んでいます。
 弁護士 今年度7件・通算49件
 女性など各種支援センター 今年度5件・通算41件
 議員政党  今年度3件・通算125件
 保護観察所など司法関係  今年度1件・通算76件
 相談者が次の相談者を同伴  今年度3件・通算66件

 ②再犯者の一人Aさんは、「はすのは」に来た時60歳代初め、40年間のうち通算36年間刑務所暮らし、前科16犯、残り4年も拘置所に居たり、仕事も家も無く所持金が無くなると犯罪。
 出所後、弁護士に教えられた「はすのは」に来てその日に、生活保護申請同伴と家探しをしてもらい、生まれて初めて借家契約書に署名押印し、喜んで「社会生活」を開始しました。歩くのが得意で五台山や桂浜に行った時の楽しい報告が続きましたが、飲酒が始まってからは様相が一変しました。
 酔った勢いで「殺すぞ」と仲間を脅したり、呑み屋で支払わずに姿を消したり、喧嘩して市外や県外に逃げ出し、果物ナイフを持って警察に行き「銃刀法違反で捕まえてくれ」と頼むなど、市民の生活や商売に迷惑をかける行動が目立つようになりました。結果として再犯で裁判の最中です。
 問題点は、社会生活の経験が無く、市民と触れ合う思いが持てなかったことです。40年間刑務官の指揮に従う生活、タテ型の生活しかしておらず、ヨコ型生活、市民と触れ合う生活を知らないで、その必要を教えられても理解できなかった。日本の刑罰の在り方がどうあるべきか、考えさせられました。
 ③「はすのは」は、どんな人でも救済する考え方で活動してきました。「はすのは」やメンバーを脅迫加害した例などを除いて支援してきました。しかし、飲酒やギャンブルが土台に有って、借金や犯罪を繰り返す人をなぜ救済するのか、理事会でも全体会議でも議論が繰り返されています。メンバーが貸した金が戻ってこなかったり、だまされた問題もありますが、議論は「市民の利益をどう守るか」に集中しています。
 

4 活動の沿革

平成15年10月

塩冶一彦が高知市潮江地区で友人と相談活動開始。

平成20年10月

「高知市生活と健康を守る会」と「高知うろこの会」で相談員として活動開始。

平成23年 4月

塩冶一彦が借家連帯保証人200件超を引受。法テラスなどの関係者が対策に乗り出し、中島香織弁護士と森本朋之司法書士の呼びかけで、借家保証団体「あまやどり」が発足。

平成24年10月

「高知市民サポーターはすのは」発足。全国電話相談の相談員が相談担当。

平成25年 4月

高知県自殺対策事業団体に認証、以後毎年補助金受領。高知県社会福祉協議会の助成金も毎年受領。

平成26年11月

「はすのは」が高知県保護観察所長から刑余者救済で感謝状授与。

平成26年12月

塩冶一彦がNHKラジオ深夜便に出演。「生活保護が守る命」を語る。

平成27年 2月

「特定非営利活動法人はすのは」認証。法人設立登記。

平成28年 4月

高知県社会福祉協議会・NPO「てをつなごう」誌で「はすのは」の活動紹介。「誰も死なせてはならない」思い出活動。

平成28年 4月

保護観察所から「NPOはすのは」登録の要請。

平成28年10月

高知県行政書士会と共同活動。行政書士が相談・支援活動開始。

平成30年 1月

住宅確保要請者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律に基づく居住支援法人としての認可を求める申請。(註・県知事の指定通知書を5月7日付受領)

 

5 活動の状況

 ①活動メンバーが増えました。相談員は行政書士が5名、全国電話相談から5名、その他1名、合わせて11名。事務所での相談、相談者宅や刑務所・警察署への訪問相談、生活保護申請同伴、刑余者への手紙書き、福祉事務所などとの相談や対策協議を担当しています。
 事務局員5名が平日毎日出勤し、住宅探し、下見案内、入居準備、福祉事務所同伴、借家保証団体の聞き取り等同伴・手続き、所在探し、記録情報管理などを担当しています。これには数名が随時参加しています。
 安否確認チームは12名、生活状況や健康状態の観察、病院や福祉事務所などへの同伴支援などを行っています。
 事務局員や安否確認チームの中には、家主や不動産屋の皆さんも加わっています。
 以上のメンバーが実数28名、常勤5名、非常勤23名になりました。いずれもボランティアです。
 専門家も顧問的役割を果たしてくれています。社会福祉士、一級建築士、弁護士です。
 債務整理などを依頼したり、貧困者や刑余者の救済を要請されたりする弁護士や司法書士も20名を超える状態になっています。
 ②安否確認活動で、訪問や街角面会した支援対象者は延べ459名になります。この他に徒歩や自転車で訪問したことが頻回に有りますが、記録不十分で報告できません。昨年度は264名でした。
 健康状況の監視やギャンブル防止の目的も含めてたまり場(事務所)来所が延べ449名でした。今年度は、来所してくれた途中から事務局員や安否確認の活動に参加し始めてくれた方が多くて、その人たちの回数を計算しなかったので昨年度よりは減少しました。昨年度は延べ537名でした。
 なお、相談も支援も平日ばかりではなく休日も多く、夜間の動きも多数有りました。
 ③「在宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」が2017年10月に施行されました。「はすのは」はこの法律に基づく居住支援法人の指定を求める申請を県知事に提出しました。
(県知事の指定通知書が平成30年5月7日付で届きました。)
 ④今年度は、財政運営で失敗をしました。相談員の謝金を年間70万円余り予定しましたが、助成金の申請で30万獲得しただけで、その後の申請はすべて認められませんでした。そのために新年度は相談がある場合に謝金を支払うことにさせてもらいました。なお、行政書士の謝金については、行政書士会が負担していただけることにしていただきました。
 財政運営では、内外から寄付金を集める提案をいただきましたが、応じませんでした。相談者が貧困者で、寄付を呼び掛けることで負担感を持たせてはならないと考えたからです。新たな資金作りの計画を模索しています。
 

6 今年度の新規・再度相談状況 

新規・再度相談の内容は、活動内容を具体的に示しているので記載します。
1001DS、4月03日、刑余者、通院支援、生活支援など(生保、住居、保証)
1002DS、4月10日、貧困、生保、会員紹介
1003DS、4月12日、貧困、住居、保証、議員紹介
1004DS、4月12日、貧困、住居、保証、議員紹介
1005DS、4月19日、貧困、生保、福祉団体紹介
1006DS、4月20日、貧困再度、保証再度、(生保、住居、保証)
1007DS、4月24日、刑余、生保、住居、保証、弁護士紹介
1008DS、4月25日、貧困、貸金取立、法テラス紹介
1001ES、5月10日、貧困再度、住居相談
1002ES、5月12日、一般、生活相談、住居相談
1003ES、5月12日、刑余、生保、住居、保証
1004ES、5月17日、刑余、出所後支援、弁護士紹介
1005ES、5月24日、刑余、出所後支援
1001FS、6月01日、貧困、生活相談、住居相談、福祉団体紹介
1002FS、6月02日、貧困、生保、住居、実家就業
1003FS、6月07日、刑余、出所後支援
1004FS、6月09日、貧困、退去後整理、業者紹介
1005FS、6月14日、刑余、生保、住居、保証、精神受診、弁護士紹介
1006FS、6月16日、刑余、生保、住居、保証、支援開始直後再犯
1007FS、6月21日、貧困、通院介助、会員紹介
1008FS、6月22日、一般、住居相談
1009FS、6月30日、貧困、保証、本人放置、市民紹介
1010FS、6月30日、貧困、生保、住居、保証、弁護士紹介
1001GS、7月03日、貧困、住居、保証、施設紹介
1002GS、7月06日、貧困、水道代滞納、入院中、官署紹介
1003GS、7月11日、刑余、住居、保証、業者紹介
1004GS、7月16日、貧困再、人捜し、(生保、住居、保証)
1005GS、7月19日、貧困再、DV、(生保、住居、保証、債務)
1006GS、7月21日、貧困再、保証更新、(生保、住居、保証)
1007GS、7月21日、刑余再、保証更新、(生保、住居、保証)
1001HS、8月04日、刑余、出所後支援、弁護士紹介
1002HS、8月17日、刑余再、精神障害者救援支援(生保、住居、保証)
1003HS、8月18日、貧困再、生活相談、住居、(生保、住居、保証)
1004HS、8月20日、HR再、保証更新、(生保、住居、保証)
1001KS、9月12日、刑余再、出所後・退去後処理(生保、住居、保証)
1002KS、9月12日、貧困再、保証更新、(住居)
1001LS、10月01日、貧困、DV、住居、保証、支援センター紹介
1002LS、10月01日、貧困再、住居相談、(生保、住居、保証)
1003LS、10月01日、一般再、親族出所後相談、建物補修入居者仲介
1004LS、10月03日、貧困、出所後支援
1005LS、10月04日、貧困、生活支援、弁護士紹介
1006LS、10月06日、刑余、出所後支援
1007LS、10月11日、貧困再、保証再度、(生保、住居、保証)
1008LS、10月15日、貧困、住居、保証、入院中、病院紹介
1009LS、10月16日、刑余、生保、住居、保証、債務
1010LS、10月18日、刑余、住居、弁護士紹介
1011LS、10月18日、刑余再、再犯、(生保、住居、保証)
1012LS、10月19日、刑余、出所後支援
1013LS、10月19日、貧困、住居、保証
1014LS、10月20日、刑余、生保、住居、保証、刑務所内情報
1015LS、10月28日、貧困、住居、保証、通院支援
1016LS、10月29日、貧困再、住居、保証、債務
1017LS、10月30日、貧困、生保、住居、保証、業者紹介
1001MS、11月15日、貧困再、住居、(生保、住居、保証)
1001NS、12月05日、HR再、保証再度
1002NS、12月07日、貧困再、住居破壊(生保、住居、保証)
1003NS、12月12日、貧困再、保証再度
1004NS、12月13日、一般、被害妄想
1001AT、1月09日、貧困、保証
1002AT、1月09日、出所後支援
1003AT、1月09日、貧困、住居、保証
1004AT、1月10日、貧困、生保、債務
1005AT、1月18日、貧困、生保、住居、保証
1006AT、1月19日、貧困、保証
1007AT、1月24日、貧困、債務
1008AT、1月24日、貧困、生保
1009AT、1月31日、貧困、生活相談、債務相談
1001BT、2月01日、貧困、保証
1002BT、2月08日、刑余再、生保、住居、保証、(生保、住居、保証)
1003BT、2月10日、貧困再、保証更新、(住居、保証)
1004BT、2月23日、貧困、住居、保証
1005BT、2月23日、刑余再、再犯、(生保、住居、保証)
1006BT、2月23日、貧困、保証
1007BT、2月24日、刑余再、保証更新、(生保、住居、保証)
1008BT、2月26日、貧困、生保、住居、保証、債務
1001CT、3月08日、貧困、土地所有権
1002CT、3月08日、刑余再、保証更新、(生保、住居、保証)
1003CT、3月18日、刑余再、保証更新、(生保、住居、保証)
1004CT、3月08日、貧困、生保相談、住居相談
 

以  上